・信頼すべき人物

「どうぞ、少尉」
そう言って、男は今度バディを組むことになった部下にコーヒーを差し出された。
「・・・・・・いらん」
そう言われながらもフラウスはいつもの柔らかな笑みを浮かべている。
けれどそれに笑顔で返すこともなく、彼、ヴィッターは渋い顔でただ一言言い放った。
「規則だ」
「・・・あ、もしかして少尉」
そこで女の顔がヴィッターの顔を覗き込んだ。
「紅茶党ですか?
・・・冗談ですよ、そんな渋い顔しないでください」
「そんなに渋い顔をしているのか、私は」
いつも通りの顔をしているだけなのだが・・・どちらにしても愛想の良い顔ではあるまいが。
共に夫婦として共和国に潜り込むのには少々表情が硬すぎるかもしれない、と心の中で書きとめておく。
「でも、淹れて来たんですから」
そう言ってフラウスはヴィッターの分のコーヒーカップを取り、一口それに口付けた。
「・・・はい、毒は入っていませんよ。
ヴィッター少尉」
はい、と渡されたカップは再び男の前に置かれる。
毒が入っていないことは今目の前で確認されたことだし、ここで飲んだとしてもなんら規則に問題はない。
問題はないのだが。
「・・・・・・フランシア伍長」
「はい、なんでしょうか」
自分の分のコーヒーを啜りながらフラウスが応える。
「・・・何の問題もないか」
「?
何の問題もありません」
そう言われては、飲まない訳にもいかないだろう。
まぁもうすぐ“ごっこ”とはいえ夫婦となるのだ、これしきのことで照れていてはいけないのかもしれない。
そう思い、彼は先ほどのフラウスと同じようにカップに口を付けた。
「・・・あ、そうだ」
ふとフラウスが手を叩いて声を上げる。
「ヴィッター少尉は甘党ですか、辛党ですか?
奥さんなんだから聞いておかないと」
「そうだな・・・好き嫌いはないな」
また一口コーヒーを口に含むと、その苦みが口中に広がった。
このコーヒーは美味い。
「じゃあ、頑張って良い奥さんにならないと!」
ふふと笑う彼女を見て、男は不思議な気分に襲われる。
何故そこまで嬉しそうなのだ。
「ね、あなた」
なんとも楽しそうな声に、男は考えるのをやめた。
また考えてみれば、ずっと二人だけで敵国へと潜り込むのだ。
嫌そうな顔されるよりはこのように笑顔でいた方が良いに決まっているし、彼女の手料理を食べたりする場面も必ずあるはずだ。
つまりは自分も相手にそれなりの信頼を置かねばならぬし、向こうも同じこと。
今のうちにたっぷり意思疎通をしておくべきだ。
「そうだな」
未だにこの女の真意は全く分からない。
だが・・・・・・信じられない、訳ではない。
コーヒーの残りを一口に飲み込む。
まずはここから始めよう。

意味不文章・・・再び!(爆
途中で間接キスとか浮かんだので入れました。上手く表現できているといいですけど。。。
パンシザってみんなコーヒー党ですよね。
今のところ紅茶党らしいのは例のブランドン中尉だけ?
私はコーヒーの方が砂糖やミルク入れられるので良いです。
紅茶には流石に砂糖3杯とかミルクとか馬鹿できないので(紅茶はストレートでも平気ですけれどね
コーヒーでこれやると某MAXコーヒーのようになって美味しいですよ〜(甘党にのみ推奨

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